理 事 長 挨 拶
例年と比べてことのほか寒さが厳しかった今年の冬もようやく終わりを告げようとしています。時折暖かな日差しを浴びると、どことなく得をしたような幸せな気分になります。皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか?
さて、私どもの社会福祉法人保健福祉の会は3月7日に定例の理事会を開催しました。目的は次年度の事業計画と予算を確認することですが、今年に限っては暫定予算しか組むことができませんでした。その理由は京都市からの保育職員給与補助金額の公表が3月にずれ込んだためです。この文章をしたためているまさに今、京都市議会でこの問題が討議されています。内容は複雑ですが大まかに言えば保育にかかわる保育士さん、調理師さん、事務職の方の給与に対する京都市からの補助金が減額されるということです。保育職員の給与は国からの給付金と自治体の補助金から成り立っています。そのうちの国からの給付金は、徐々に改善されてきたとは言うもののいまだ不十分なため、多くの保育園は国基準以上の職員を配置しています。自治体からの補助は、質の良い保育を行うためには必須のもので、今年度までは保育職員の実態をある程度反映した補助金が支払われていました。
現時点で示されている京都市の提案をみると補助金総額は前年比で13億円減額されること、11年を超える中堅保育士の給与は頭打ちになり昇給はなくなること、常勤調理師は3人まで、事務は1人だけしか補助の対象とならないことなどが含まれます。提案を当てはめると現在265ある京都市内の民間保育園の8割が補助金削減となり、最も削減額が大きいところでは、なんと4000万円を超える額が減らされることも判明しており、私どもの法人でも大幅な補助金削減となります。もしこのままでいくと保育事業継続のためには職員を減らす、給与を減らすなどの対応を取らざるを得ない事態に追い込まれています。
京都市では保育の多くを民間保育園が支えています。保育園は子どもたちの成長と発達を支える場であり、そして家族の子育てにかかわる疑問や不安にこたえ家族を支えています。こうした大切な役割を果たしている民間保育園の存立を危うくするような改正は間違っているのではないでしょうか。
最後になりますが、2月24日にロシア軍がウクライナに軍事侵攻した事態に、私たちも心を痛めています。いまだに停戦のめどは見えず、子どもたちを含めて多くの市民が犠牲になっています。私たちにできることはそれほど多くはありませんが、まず声をあげることが大切と思います。今回の理事会では、ロシア軍の軍事侵攻に抗議する声明を理事の総意で確認しました。ここに声明文を掲載させていただきます。
2022年3月7日
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に抗議します
社会福祉法人 保健福祉の会
2021年度第4回理事会
2022年2月に発生したロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻で、罪のない命が奪われ、人びとの暮らし、街、文化が破壊されています。戦火の下で、子どもたちや高齢者、障害者のみなさんの生存が脅かされています。この侵略行為は、他国の主権と領土を侵す暴挙であり、武力行使を原則禁止する国連憲章に対する重大な違反です。またプーチン大統領はロシアが核大国であることを誇示し威嚇さえしています。唯一の被爆国である日本に住む私たちはこのことを看過することはできません。
戦争は人びとに限りない苦痛をもたらし、人権を制限します。そして福祉が必要な人への支援や介護が滞り、さらに戦争による被災者、傷病者を生み出します。保健福祉の会はその理念に「平和であることを土台に」することを掲げています。この理念に照らしてロシアのウクライナ侵攻に抗議することを社会福祉法人 保健福祉の会2021年度第4回理事会として決議します。